年の瀬なので、今年読んだ本のふりかえりをば。それではレッツゴー!
実践的データ基盤への処方箋
会社でデータ基盤周りのことを考える機会があったので読んだ。データ基盤素人にもわかりやすく書かれていたと思う。最初の一冊として良いというのを同僚のデータエンジニアからも言われた。
『実践的データ基盤への処方箋』ざっと読んだ。データ基盤周りまったく土地勘がなかったのでだいぶイメージつきやすくなった感じ。かなり記述は(アプリケーション開発者が読む場合は)親切だと思った。
— こま (@koma_koma_d) 2022年12月11日
Webブラウザセキュリティ
認証認可周りを触る機会があったので読んだ。Webアプリケーションのセキュリティに関しては徳丸本などもあるけど、この本はブラウザに特化していて仕様の話なども充実しているので面白かった。
図解即戦力 暗号と認証のしくみと理論がこれ1冊でしっかりわかる教科書
これも認証認可周りを触るときに読んだ。「図解」とあるので初歩的なものをイメージしがち(自分はそう)なのだが、これはなかなか骨太で、数学的な部分も入ってくる。しかしそれでいて読みづらくはないというのが素晴らしいと思う。
誤謬論入門
ブログにしたもの。IT系とは別のところで反響が大きかった。インターネット上の言説に違和感を感じるときにこの本の整理を参照すると少し違和感をクリアにできる。
アジャイルプラクティスガイドブック
Rettyの常松さんの著書。スクラム関係の本やアウトプットが多いのに対して、アジャイルの技術的プラクティスについてはあまりまとまった形で出てくることがないなと感じているなかで、待望の一冊だった。
アジャイル開発をする上で悩んでいることがある開発者のみなさんは自分も運営で関わっているScrum Developers Night!をよろしく(以下のページは前回開催時のもの。次回開催の案内は2月を予定していますので、Scrum Masters Night!*1のconnpassのグループに参加して通知をお待ちください)。
世界一流エンジニアの思考法
マイクロソフトの牛尾さんの著書。noteやブログで牛尾さんがどういうことを感じている/考えているのかは以前からウォッチしていたが、それが書籍という形でまとまったもの。想定読者としては現場のエンジニアよりも「管理者」向けの側面が大きい(倉貫さんの『人が増えても速くならない』に近いものがある)と感じるのだが、最初の方に書かれている牛尾さんの周囲の優秀なエンジニアの行動パターンの話は非常に興味深く読んだ。
特に、「理解に時間をかける」という話が印象的だった。自分の所属する会社でも学習への投資が積極的に行われている(下記のブログ参照)のだが、ついつい目の前の仕事を前に進めるために不十分な理解を放置して進んでしまいがちだと感じていたのだが、やはり理解に時間をかけてスキルを伸ばすことが将来的にいい仕事をするためにも必要で、自社のマネージャーもそれを期待しているということもあって、この本を読んだ頃からは以前よりも「理解に時間をかける」ようになった(もちろん時にはスピードを重視しないといけない場合もあるだろうけど)。
Linuxのしくみ
こちらもブログにしたもの。秋以降は『プログラマーのためのCPU入門』、『コンテナセキュリティ』、そして現在は『詳解システム・パフォーマンス』と(アプリケーション開発者から見た)低レベルのところに意識的に取り組んでいる。記事にも書いたが、最初に読む本として『Linuxのしくみ』は非常におすすめ。
プロダクトマネージャーのしごと
自分はプロダクトマネージャーではないが、プロダクトマネージャーに限定されない仕事の考え方の話も書かれているという評判を目にして読んだ。たしかにそういう側面もある本で、時々読み返す本になりそうだと思った。
特に印象に残っているのは「過剰コミュニケーション」の話と、
『プロダクトマネージャーのしごと』を読んでから、これまで以上に「当たり前のことをあえて質問する」「みんな認識してそうなことをあえてもう一度言う」というのを意識的にするようになった
— こま (@koma_koma_d) 2023年11月17日
「最初のドラフトは1ページで、作るのに1時間以上かけない」という話。
数年前、私はビジネスパートナーたちに「チームにドキュメントに使う時間と労力を減らせとコーチする割には、いまだにあなた自身は内部ミーティング資料を念入りに作り込んでいるんですね」と指摘されました。私が「当然ですよ。あなたたちは優秀だからいいけど、私は仕事をちゃんとやってるって思わせたいんです」と言うと、全員が一瞬固まりました。「はぁ」。
(『プロダクトマネージャーのしごと』p.154)
2024年に向けて
来年の4月でソフトウェア開発者として働き始めてから7年が経つことになる。
ソフトウェア開発関連の書籍を読むことはキャリア初期から自分を大いに助けてくれてきたのだが、この1,2年くらいは仕事で向き合う課題が単なる知識不足では解決できないものが多くなってきて、以前ほど書籍を読むことの意義が感じられなくなってきている側面があり、以前ほどたくさん本を読まなくなっていた(2022年末のサッカーW杯でサッカーにどハマりして休日の夜が欧州サッカーで消費されるようになったのと、2023年1月クールのアニメ「お兄ちゃんはおしまい!」で声優・アーティストの石原夏織さんのファンとしての動きを再開したのとで、そもそも学習にかける時間が減ってしまったというのも大きいのだが)。
しかし、2023年後半からはややバランスを取り戻して、学習への時間を増やし始められている。書籍を読むことで解決する仕事上の課題が増えたわけではないのだが、周りのシニアなエンジニアと話していると自分が知らないことをたくさん知っているなと感じることが多くあるので、仕事基準ではなく人基準で足りないところを埋めていこうと思って勉強をしている。
また、↓で書いた毎日1ページでもいいので本を読むという活動に参加したこともいいきっかけになっている。やはりピアプレッシャーは習慣化の大きな助けになる。
某コミュニティの人たちと一緒に「毎日1ページでもいいので本を読もう」というのをやっていて、自分はこれまでに、
— こま (@koma_koma_d) 2023年12月21日
・『プログラマーのためのCPU入門』
・『コンテナセキュリティ』
・『男性の繊細で気高くてやさしい「お気持ち」を傷つけずに女性がひっそりと成功する方法』…
この活動は「みんチャレ」というアプリを使ってやっていて、5人1組でヨーイドンで始めるものなので現在自分の参加しているグループに追加で参加してもらうことはできないのだが、仲間さえ集まれば簡単に(アプリは無課金でも利用できる)始められるので、興味がある人がいたら周囲の人に声をかけてみるといいと思う。
そういうわけで、2024年はより一層ペースを守って勉強することを重視したいと思います。みなさん良いお年を。
*1:Scrum Developers Night!はScrum Masters Night!の派生イベントで、同じconnpassに同居しています。Scrum Masters Night!もエンジニア歓迎だと思うのでそちらもぜひどうぞ。