こまぶろ

技術のこととか仕事のこととか。

ICとEMの狭間を揺蕩っている(会社ブログにインタビュー記事が載りました)

掲題の通り、会社のブログにインタビューしてもらった記事が載りました。

tech.bm-sms.co.jp

組織の一員として語るべきことは記事中で語っていますので、そちらをぜひご覧いただきたいのですが、せっかくの機会なので記事には載らなかった個人的な話を少し書いておこうかと思います。「あれ、エンジニアリングマネージャーなりたいっていってなかったっけ?」という話です。


記事では、2020年4月に現職に入社してから社内でどのようなことをしてきたかを、開発者としての開発チームでの仕事以外の部分にフォーカスを当てて話しました。一般的にはエンジニアリングマネージャーなどが関わることが多そうな領域に、IC(Individual Contributor)の立場にありながら関わっていることがわかるかと思います。

Twitterなどではしばしば語ってきたところですが、2017年4月に新卒でソフトウェア開発者としてのキャリアをスタートしてから、1年経たないくらいの時期にあった2冊の書籍との出会いが自分のこれまでのキャリアにとっては大きなインパクトをもたらしました。いずれも2018年2月に出版された『カイゼン・ジャーニー』 と『エンジニアリング組織論への招待』です。

プログラミング未経験で開発者として就職して、「これからは技術で仕事をしていくんだな」と漠然と考えていた自分にとって、ソフトウェア開発の世界で、いわゆる「技術」とは異なるトピックが存在していて、どうやらそこがうまくいかないことで苦労することも少なくなく、その部分の問題解決のスキルを強みとして仕事をしている人たちがいるらしい、ということを知ったのがこの時期でした。

これらの書籍との出会いをきっかけに、アジャイルやマネジメントなどのコミュニティに出入りするようになり、自分よりも少し先輩に当たる人たちとの関わりができました。そうした人たちとの交流から、自然とアジャイルコーチ/スクラムマスターやエンジニアリングマネージャーといった仕事に興味を持つようになりました。現職に入るときも、そういう志向を口にしていたような気がします。


で、現職に入ってからほぼ3年半経つのですが、エンジニアリングマネージャーにもなってないし、スクラムマスターロールで仕事をしているわけでもないのですよね。どうしてこうなった?

理由は色々あります。一つの理由は、記事の中でも話しているように、現職の組織文化として「マネージャーだからこれをやる」という発想が弱く、「必要だと思ったらロール関係なくやればいいでしょ」という感じなので、元々やってみたいと思っていた活動にエンジニアリングマネージャーにならなくても携わることができているというのがあります。もちろん評価などの権限はないのでそういうことはやっていないのですが、採用面接に出たり、組織改善の取り組みに関わったりと、そこそこやりたいことができているわけです。

他には、現職で働いている中で、自分の技術スキル不足が仕事を進める上での1番のネックだなと感じる経験を多くしてきたというのもあります。開発プロセスなどのことは色々と勉強してきたので、その観点から改善を図るというのは必要であればやるし、実際にうまくいったことも多いのですが、それ以上に「自分がもっとコードをゴリゴリ書けたら前に進んだのに」などと思う機会や、チームが停滞しそうになったところを技術力(時に筋力)で突破 する同僚の姿をみる機会が多く、「もっとこっちの力を身に付けた方が自分の満足のいくパフォーマンスが仕事で出せるんじゃないか?」と思うようになりました。

「将来エンジニアリングマネージャーやるならこれくらいは技術も知っておきたい」というふうに考えて技術の勉強をするという話もよく見ますし、自分もそういうふうに物を考えることもありますが、それ以上に「仕事を前に進めるために自分がもっと持っていたら良かった力はなんだろう?」というところで、いち開発者としてのスキルをもっと磨きたいと考えて、正式にエンジニアリングマネージャーというロールを担いにいくことをしていないということです。


まぁそういうわけで、ICとEMの狭間を揺蕩い続けているわけです。

自分と似たような志向を持っていた(多分年齢の近い)開発者の人がエンジニアリングマネージャーになって活躍している姿をみて「自分はこれでいいんだっけ?」と思うことももちろんありますし、マネジメント以外の領域で一芸に秀でている人に憧れる思いもありますが、少なくとも「こっちに進んでいればよかった」という後悔は今のところはないので、それは幸いなところだなぁと思います。

とはいえ、今後どういう方向に進んでいこうかというのはやっぱり悩みどころですし、考えていかねばならんなぁとも思っています。 知人の皆様におかれましては「軽率に」飲み会に誘うかもしれませんのでどうぞよろしくお願いします。